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   第一話


 「何なんだこいつは・・・」
彼方のその一言は、その場の4人全員の思いを代弁していた。
それもそのはずだろう。目の前のソレは見た目こそ人に近くはあるが、誰もが一目で自分たちとは違う存在だと気づいた。
いや、正しくは本能的に感じ取った、だろう。
それもそのはずだ。形は人間なのに全身が闇のように黒い、まるで影のようなやつだったからだ。
 「・・・同時に行くぞ」「・・・わかった」
流の提案に頷いた彼方は、手にした竹刀を構えなおす。
 「っらぁ!」
彼方が吼える。と同時に構えた竹刀を袈裟に振り落とす。
常人には目で捉えることすら出来ないであろうその一撃。
誰もが決まった!と思った刹那、そこにいるソレは体を後ろにずらし紙一重で、だが確実にその一撃をかわす。
横からほぼ同時に刀を振り下ろしていた、彼方を上回る速度の流の一撃さえも。
 「ちっ・・・またかよ・・・やっぱりこいつ・・・」
彼方が流を見やる。そして流は静かに
 「ああ、読まれてるな」「やっぱりか・・・」
そう、ソレは流たちの動きを読んでいる。間違いなく。
出なければ県内で最も強いと言われる流と、流を倒せるのはこいつしかいないと言われる彼方の二人同時の必殺の攻撃を避けられるはずがない。
 「流君!彼方君!逃げようよ!動きを読む相手に勝てるはずないじゃない!」
後ろから二人に叫ぶ声がする。歩だった。
 「逃げられないよ。こいつの動きは素早い。最初の攻撃を防げただけで奇跡みたいなもんなんだ」
静かに告げる流の目にはハッキリと焦りの色が浮かんでいた。
  「コノ程度か・・・ならバ次はこちラからいクぞ」
抑揚の無い声が耳に入る。
と、同時にソレはものすごい速さで彼方に切りかかってきた。
 「うおっ!?」
という驚きの声と同時に彼方の体が、後ろにいた歩と瞳の手前まで吹き飛ばされる。
 「彼方君!!」「きゃぁ!」
歩と瞳の声が耳に入る。
 「うっ・・・くそ・・・」「だ、大丈夫!?」
心配する瞳の声がするが吹き飛んだ衝撃のせいか頭が揺れる。
ソレの追撃が無かったのは、とっさの判断で間に入った流のおかげだった。
 「彼方!大丈夫か!?」
流はソレから目を離すことなく彼方に問いかける。
 「あ、ああ・・・だが・・・視界が揺れる・・・」
彼方の苦痛を伴った声を聞いたとき、流の注意が一瞬ソレから逸れた。そして、当然ソレはその一瞬の隙を見逃さなかった。
 「前!!!」
瞳の声で反射的に防御の姿勢を取っていた流は、直撃こそ免れたものの彼方と同じように大きく後ろに飛ばされた。
 「「流君!!」」
二人の叫び声と同時に、どんっ、という音を響かせに地面に落ちた流は苦悶の表情を浮かべた。と、その時
 「つまラん。つマらんナ。ナらもう終ワリにしヨうじゃないカ」
そう言い終えると、怒涛の速度で切り込んできたその影の攻撃を構えから左側へ防御の姿勢を取ろうとした彼方だったが
 「右!!!」
瞳の叫び声に反応して無意識に右側を防御する。
 「くっ」
構え方からは想像できないが、竹刀の軌道を変えて右側からの攻撃だった。
おかげで全力の攻撃じゃなかったのか、不完全な防御でも防ぐことが出来ていた。
 「キさマ・・・さっキから・・・!」
その影は標的を瞳に変更し、攻撃を仕掛けてきたが体制を整えていた流がその攻撃を防ぐ。
 「っ!」「!?」
影に一瞬の動揺があったが、それに気づいたのは流だけだった。そして静かに後ろの3人に告げる。
 「・・・こいつは俺が何とかする。だからお前らはヒロを探しに行け。この近くにいるはずだ。」
 「なっ!?お前、動きを読む相手に一人でどう対処するつもりだよ!?」
彼方が叫ぶように言い返すが
 「行け。」
流は一瞬彼方の目を見て、そう告げるだけだった。
 「・・・・・・ああ、分かったよ。ヒロを見つけて戻ってくるからそれまで耐えろ。」
 「分かった」
流への視線を切り、歩と瞳に
 「行くぞ」
と、後ろの二人一言告げる。
 「そんな!?」「流君だけ置いていくつもりなの!?」
 「良いからこい!早くしろ!!!」
二人の声を掻き消すように彼方の叫び声が響いた。


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2010.11.08 Mon l 昨日と明日の狭間より―― l COM(0) TB(0) l top ▲

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