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   第7話 ~夕凪~


     「裕也さん」



 「え!?」
突然の声に顔をあげると、海に沈もうとしている太陽を背に、彼女はそこに立っていた。

 「な・・・夏樹さん・・・?」
  「はい・・・」
 「よ、よかったー探したよ ずっと会えなかったし街中でも見かけないしさ それにさ、花火の帰りにあった雅って
 覚えてる?あいつらが夏樹さんを見てないって言うんだよ 全部幻だったのかって心配しちゃってさ こんな年齢なのに
 がきっぽいよなー俺も ま、無事なら良いさ でもあいつらがもしまだ探してくれてたら悪いからさ 一度顔見せに行こ
 うよ」
  「・・・。」
一気にまくし立てた俺の顔を、どこか寂しげな表情で見ている夏樹さんが目に入った。
 「夏樹さん?どうしたの?」
  「幻か・・・確かにそのとおりです」
 「・・・え?」
彼女は今なんて言った?
 「今なんて・・・どういうこと・・・?」
  「私は、幻なんです。裕也さん以外には見えませんし声も聞こえません 当然触れることも叶わない」
 「何いってんだよ 現に今ここにいるだろう?幻なわけないじゃないか」
俺は自分に言い聞かせるように言った。
  「いいえ、私は幻なんです。」
思考が追いつかない。
  「私は・・・もう死んでいるんですから・・・」
俺は、動くことも言葉を発することも出来なかった。


  「裕也さんが小学生のとき、お姉さん、夕海さんが遊覧船から落ちて亡くなってますよね?」
 「う、うん・・・」
  「その原因は、私なんです」
 「な・・・にを・・・?」
  「あの時、私はお二人と同じ船に乗っていました。初めての遊覧船が嬉しかったんです。それで船から身を乗り出して・・・
  海に落ちてしまった・・・」
俺は黙って話を聞くことしか出来ない。
  「その時、海に落ちた私に気がついて助けようと飛び込んでくれたのが、裕也さんのお姉さん、夕海さんでした」
  「でも結局夕海さんも私もあの時に・・・死んでしまったんです・・・」
そんなことは、俺は誰からも聞いていない。
  「だから!」
彼女は一際大きな声で
  「あの事故の原因は私なんです!・・・裕也さんじゃない・・・」
涙を流しながら
最後は消え入りそうな声で、彼女はそういった。
  「私は霊となってこの近くにいました。そうしたら・・・」
  ――裕也に、元気を出せって もう自分を責めるのはやめて前を向いて歩けって!伝えてもらえないかな・・・―
  「って聞こえてきたんです・・・でも私はもう死んでますから、裕也さんを見つけても気づいてもらえないんじゃないかって
  思ってました でも私を助けようとしてくれた人の頼みですからやるだけやってみようと思って裕也さんを探し
  始めたんです・・・」
彼女は涙を流しながら話し続ける。
  「でも、探してるうちにまだ見たことも会ったこともない裕也さんの事を考えてるうちに!どんどん気になっていって・・・
  会って、お話をしてるうちに裕也さんの事を好きになっていく自分がいて・・・私はもう死んでるから、叶わないと分かって
  いても、あとちょっとだけ、もう少しだけ!って・・・」
そんな彼女を気持ちを聞いて、自分も打ち明けようと覚悟して
  「でももうここには、いられないから・・・私はもうすぐ消えてしまうから・・・だからこれだけは言っておこうと思って」
 「え、ちょっと消えるってどういう・・・」
  「夕海さんが亡くなったのは裕也さんのせいじゃないっ 私のせいだから・・・だからもう自分を許してあげて・・・」
 「許すってそういうことだったのか・・・。でも消えてしまうなんて!」



    「あなたのせいでもないわ」
 「え?」
  「えっ!?」




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2010.09.18 Sat l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲

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