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   第3話 ~潮風~


  「裕也さんのお姉さんの、夕海さんです!!」


 「・・・何を言い出すかと思ったら・・・俺の姉は昔海で死ん・・・え?夏樹さん、俺とは会ったこと無いんだよね?」
  「ありません・・・」
 「じゃぁ姉さんとは?」
  「・・・あります」
 「なんだ、姉さんの知り合いの人だったのかー・・・」
見た感じ俺より年下だけどけどなぁ・・・まぁ姉さんの知り合いじゃ俺の名前を知ってても不思議じゃないか。
 「じゃぁその伝言は・・・遺言か何かかい?」
  「遺言と言えばそうなのかも知れませんが・・・」
 「そっか。それをわざわざ伝えに来てくれたんだね・・・ありがとう」
  「いえ、そんな・・・はい」
 「姉さんが・・・そっか・・・よし!」
  「どうかしましたか?」
 「姉さんのお墓に行こうと思うんだ 悪いんだけど今日はこれで・・・」
  「・・・分かりました・・・」
 「うん、じゃぁね また」



姉さんのお墓は海が見渡せる小高い丘の上にある。名前にも『海』の文字が使われている。その影響ではないと思うが
姉さんは海が大好きだった。だから、父さんや母さんはここにお墓と作ったと言っていた。


 「やぁ、姉さん・・・久しぶり・・・」
お墓の周辺を掃除して線香を・・・
 「何ヶ月ぶりかな?しばらく来れなくてごめんね 色々忙しくてさ・・・」
俺は煙草に火をつけ姉さんの墓と並んで海を眺める。いつもここに来たときの、まぁ決まりみたいなもんだ。
 「今日姉さんの知り合いだっていう人が訪ねてきたよ まぁ初めてあったのは先週なんだけどさ 夏樹さんって言って・・・
 って、姉さんの知り合いなら名前だけで分かるか」
しばらくの沈黙。火が消えかけた煙草をもみ消しながら
 「姉さんの遺言を伝える為にわざわざ来てくれたらしいんだ・・・前を向いて歩いていくよ」

           ――裕也は、まだ分かってない―――


 「え?」
ふと、姉さんの声が聞こえた気がした。
 「・・・気のせいだよな・・・」

そして、俺は夕焼けの美しい海からの潮風を体中に受けながら、丘を降りる為に歩き出した。







   第4話 ~細波~


電車で数駅離れたバイト先からの帰り

  「裕也ー!」
ふと、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえた。
 「なんだ雅か」
  「裕也!今日花火大会があるだろ 一緒に行かないか?悠司や梓も来るってよ」
 「花火大会か・・・いや、俺はやめとくよ そんな気分じゃないんだ」
  「まぁそういうなよ。お前と一緒に花火みたいって女の子がいるんだよ!ほら、梓と同じ高校の・・・」
 「そういう気分じゃないって言ってるだろ?それに、今は彼女とかそういうのはいいんだ じゃぁな」
  「女っ気がない大学生活なんてつまんねーだろー?20時に春日神社集合って事になってるから、気が向いたらこいよー!」
俺は軽く手を上げて帰路につく。
 (そんな気分じゃねぇって言ってるのに・・・あいつなりに気を使ってくれたのかな・・・?)
そう思うとなんだか悪い気がしてきて、足早に家に向かって歩いていった。



家の前に来たとき、最近見知った人が佇んでいるのが目に入った。
 「あれ、夏樹さん 何か用事?」
  「はい。あの・・・」
 「?」
  「・・・。」
俯き加減で言いよどんでいる夏樹さんだったが、その後意を決したように顔をあげた。
  「一緒に花火、見に行きませんか!?」
頬を赤く染めて、見上げるように上目遣いで。
俺はさっきの雅との話しを思い出したが、でもやはり今はそんな気分じゃなかった。
 「ごめん。さっき大学の友達にも誘われたんだけどさ、今はそんな気分じゃないんだ・・・せっかくだけど・・・」
  「そ・・・うですか・・・すいません、いきなりこんなお願いしちゃって・・・」
 「いや、こちらこそごめん せっかくのお誘いなのに」
  「いえ・・・」
気まずい沈黙が流れた後、ふと
  「やっぱり、まだ許せませんか・・・?」
 「え?」
いまいちよく聞き取れなかったが・・・許せない?
  「何でもないです・・・気が変わったら、その時はお願いしますね・・・」
そう言って彼女は歩き去っていった。






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2010.09.16 Thu l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲

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