上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- -- l スポンサー広告 l top ▲





   ~Epilogue~


 「あっちぃなー セミはうるさいし、暑さは止まるところを知らないし」
ああ、あの時も確かこんな・・・
 「凪の時だったな~」


 「や、姉さん ここに来るのも久しぶりかな 姉さんたちと別れてすぐの時は、またここに来れば二人に会えるんじゃないかって
 何度も足を運んだけど・・・姉さん言ってたしね 前を向いて歩けって」
姉さんの墓の前で煙草に火をつけ、続けた
 「どうだろうか 俺、少しは前向きになれたかな?」
紫煙を吐き出して、墓石の横に座って海を眺める。
そして灰皿に吸殻を入れ、立ち上がる。

 「じゃあ行くよ また気が向いたら来るよ」

ふとセミの声が止んだ気がした

 「頑張るよ ここで約束したんだ。夏樹さんと。また、いつか会おうってさ・・・」

 「ね?夏樹さん・・・?」

あの夏、夏樹さんが最後に立っていた場所に向かって僕は問いかけた。



  「はい。だから戻ってきましたよ 約束を果たす為に」

 「そっか 2年待った でも苦痛じゃなかった」
なぜか、彼女はそこにいる。空耳じゃない、と確信があった。
 「俺の中には今も夏樹さんへの想いがある 夏樹さんは?」

  「私もです。裕也さんが待っていてくれていると思うと2年の月日は苦痛じゃなかった・・・リハビリの日々も・・・」

  「あの日から裕也さんのことだけを想って生きてきた」

 「と、いう事は最後に姉さんが伝えようとしていたことは・・・」

  「はい」

それ・ひと・はた・・られ・から
それにひとりはたすけられたから

彼女は意識不明で入院していたが、亡くなったわけではなかったのだ。

振返り、夏樹さんを見る。


 「おかえり、夏樹さん」


涙で濡れた、でもあの時と同じ最高の笑みで


 「ただいま!!裕也さん!!」








こうして俺たち二人は歩いていく―



              ―――この過ぎ行く夏の日を・・・俺たちの物語の始まりの日・・・―――




スポンサーサイト
2010.09.23 Thu l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(2) TB(0) l top ▲




  最終話 ~過ぎ行く夏と・・・~


突然声が聞こえてきた。


   「あなたのせいでもないわ」
 「え?」
  「え!?」
俺と夏樹さんは驚いて辺りを見回す。すると・・・
 「ね・・・えさん?」
  「夕海さん・・・?」
お墓の上に姉さんがいた。
   「ええ・・・裕也、大きくなったわね 夏樹ちゃん、ちゃんと伝えてくれてありがとう」
言葉を失っている二人に対して
   「いい?私が二人と話が出来るのはこれで最後 それもほんの少しの間だけ だから黙ってよく聞いてね」
二人は分かったと首を縦に振る。
   「あの時、裕也と一緒に船の上から景色を見ていた その時夏樹ちゃんがデッキから落ちたの ここまではさっきの話で
   わかってるわね?」
 「うん」
俺は答える。
   「でも、落ちたのは夏樹ちゃんのせいじゃないの」
  「え?」
驚いた顔で聞き返す。
  「どういうことですか!?」
姉さんはひとつ頷くと
   「夏樹ちゃんがいた所の手すりはね、船に乗り降りする時に使う場所で、開け閉めできるようになってたの。
   でも船が揺れた時にそこが開いて海に落ちちゃったのよ」
   「私はそれを見て飛び込んだの 助ける為に」
姉さんはを言った。
   「だからはしゃいでた夏樹ちゃんのせいじゃないし、一緒に景色を見ていた裕也のせいでもない 一緒にいたのに
   助けられなかった って思ったかも知れないけど、あの時もし裕也が私を見て飛び込んでいたら、それこそ誰一人
   助からなかったわ」
 「でも・・・」
   「でもじゃないの。もし私がすごい泳げる人だったとしても、二人は同時に助・・れな・・・・ね」
 「姉さん?」
   「そろそろ限界みた・ね 忘・ないで あなたた・に責任はな・ それ・ひと・はた・・られ・から」
 「姉さん!」
  「夕海さん!!」
   「じゃ・ね 元気で 夏樹ちゃ・ 裕・のこと・よろし・ね・・・」
そして姉さんは見えなくなった。

沈黙が流れる。

そして、涙を流している俺に、夏樹さんは言った。
  「私もそろそろ限界みたい・・・一緒に花火見れてよかったわ・・・ありがとう・・・」
 「夏樹さん!俺、夏樹さんの事が好きだ!!初めてあったあの夜からずっと好きだった!!やっと・・・気づいたんだ・・・」
  「私も裕也さんが好き・・・やっと・・・思いを伝えられたのに・・・これで終わりかぁ・・・」
 「そんな!やっと思いが通じたのに!なんとかならないの・・・!?」
  「もう・・・どうにもならない・・・だから・・・」
消え入りそうな声で
  「ありがとう裕也さん 私を好きに・・・なってくれて・・・ 忘れない」
 「俺も忘れない!また、またいつか!」
これ以上ない笑顔で
  「そうね・・・また・・・いつ・・・か・・・」
 「夏樹さん!!!!!待ってるから!!!!!!!!」



俺の叫びと共に、夏樹さんは消えていった・・・セミの鳴き声の響き渡る凪の中、ほんの少しの思い出と笑顔を俺の胸に残して・・・














そして時は流れ―――1年後



  「おい裕也~ お前まだ彼女いねぇの?」
やりたいことが見つかった、とかって大学やめて仕事をしてる雅にそんなことを聞かれた。
 「お前そんな話題ばっかりだな・・・作者や作者の同居人とかわんねぇな・・・いるよ」
  「おいおい何の話だ?って、マジかよ 誰だよ 俺の知ってる奴か?紹介しろ紹介」
 「今は会えないんだ でも、またいつか会おうって約束した
 だからいつか、またいつか会えると信じて俺は待つことにしたんだ」
  「・・・そっか・・・ま、がんばれや・・・」
優しげに雅は言った。


 「ああ、任せろ」





     ―だから待つんだ
         俺はここで
            彼女との再開を夢みて






                  これが、決して忘れることの出来ない、俺の夏の物語・・・―――




2010.09.18 Sat l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲





   第7話 ~夕凪~


     「裕也さん」



 「え!?」
突然の声に顔をあげると、海に沈もうとしている太陽を背に、彼女はそこに立っていた。

 「な・・・夏樹さん・・・?」
  「はい・・・」
 「よ、よかったー探したよ ずっと会えなかったし街中でも見かけないしさ それにさ、花火の帰りにあった雅って
 覚えてる?あいつらが夏樹さんを見てないって言うんだよ 全部幻だったのかって心配しちゃってさ こんな年齢なのに
 がきっぽいよなー俺も ま、無事なら良いさ でもあいつらがもしまだ探してくれてたら悪いからさ 一度顔見せに行こ
 うよ」
  「・・・。」
一気にまくし立てた俺の顔を、どこか寂しげな表情で見ている夏樹さんが目に入った。
 「夏樹さん?どうしたの?」
  「幻か・・・確かにそのとおりです」
 「・・・え?」
彼女は今なんて言った?
 「今なんて・・・どういうこと・・・?」
  「私は、幻なんです。裕也さん以外には見えませんし声も聞こえません 当然触れることも叶わない」
 「何いってんだよ 現に今ここにいるだろう?幻なわけないじゃないか」
俺は自分に言い聞かせるように言った。
  「いいえ、私は幻なんです。」
思考が追いつかない。
  「私は・・・もう死んでいるんですから・・・」
俺は、動くことも言葉を発することも出来なかった。


  「裕也さんが小学生のとき、お姉さん、夕海さんが遊覧船から落ちて亡くなってますよね?」
 「う、うん・・・」
  「その原因は、私なんです」
 「な・・・にを・・・?」
  「あの時、私はお二人と同じ船に乗っていました。初めての遊覧船が嬉しかったんです。それで船から身を乗り出して・・・
  海に落ちてしまった・・・」
俺は黙って話を聞くことしか出来ない。
  「その時、海に落ちた私に気がついて助けようと飛び込んでくれたのが、裕也さんのお姉さん、夕海さんでした」
  「でも結局夕海さんも私もあの時に・・・死んでしまったんです・・・」
そんなことは、俺は誰からも聞いていない。
  「だから!」
彼女は一際大きな声で
  「あの事故の原因は私なんです!・・・裕也さんじゃない・・・」
涙を流しながら
最後は消え入りそうな声で、彼女はそういった。
  「私は霊となってこの近くにいました。そうしたら・・・」
  ――裕也に、元気を出せって もう自分を責めるのはやめて前を向いて歩けって!伝えてもらえないかな・・・―
  「って聞こえてきたんです・・・でも私はもう死んでますから、裕也さんを見つけても気づいてもらえないんじゃないかって
  思ってました でも私を助けようとしてくれた人の頼みですからやるだけやってみようと思って裕也さんを探し
  始めたんです・・・」
彼女は涙を流しながら話し続ける。
  「でも、探してるうちにまだ見たことも会ったこともない裕也さんの事を考えてるうちに!どんどん気になっていって・・・
  会って、お話をしてるうちに裕也さんの事を好きになっていく自分がいて・・・私はもう死んでるから、叶わないと分かって
  いても、あとちょっとだけ、もう少しだけ!って・・・」
そんな彼女を気持ちを聞いて、自分も打ち明けようと覚悟して
  「でももうここには、いられないから・・・私はもうすぐ消えてしまうから・・・だからこれだけは言っておこうと思って」
 「え、ちょっと消えるってどういう・・・」
  「夕海さんが亡くなったのは裕也さんのせいじゃないっ 私のせいだから・・・だからもう自分を許してあげて・・・」
 「許すってそういうことだったのか・・・。でも消えてしまうなんて!」



    「あなたのせいでもないわ」
 「え?」
  「えっ!?」




2010.09.18 Sat l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲





   第6話 ~泡沫~


この前の花火大会から2週間が経った。
あれ以来夏樹さんは姿を現さない。街中を歩いていても当然見かけたりもしない。
都合がつかないだけかも、とも思ったがなぜか胸騒ぎがする・・・
 「夏樹さん来ないなー 全然見かけもしないし・・・何かあったのかな・・・?」
そんな事を考えてると、いてもたってもいられなくなって俺は家を飛び出した。
 「(とりあえず街中をもう一度歩いてみよう!闇雲に歩き回ってもダメだろうから・・・
 そうだ!花火の帰りに、こっちだからって歩いて行った方を探してみよう」
あの十字路を目指して歩いてる時にふと思った。
 「(俺、なんでこんなに夏樹さんのことが気になってるんだろ・・・)」
そんなことを考えながら歩いていると、雅たちを見つけた。
ちょうどいい、夏樹さんを見かけてないか聞いてみよう。
 「なぁ雅、ちょっといいか?」
  「ん?お、裕也じゃん どうした?」
 「ちょっと人を探しててさ 黒髪のストレートで背はこれぐらい お前らに言いたくはないがかなり可愛い子だ
 見かけたりしてないか?」
  「俺らには言いたくないってのが気にかかるが・・・やっと裕也にも彼女が出来たか?」
雅たちはニヤニヤしながら「やっと春が来たか」だの「あの裕也がねぇ」だの色々言いたいこといってやがる。
 「別に彼女じゃねーよ で、見かけてないか?」
  「見てないなぁ お前ら見たか?」
雅が周りの友達にも声を掛けるがみんな見てないらしい。
  「大体その程度の情報じゃあなぁ~ もっと何か特徴ないのか?」
その時俺は思い出した。
 「あ、お前ら会ってるじゃないか 花火の終わった後歩いてたら、ほら、春日神社の前で あの時の子だよ」
  「は?お前誰かと一緒にいたか?」
 「いやだから、あの時俺の後ろに隠れるようにしてた女の子だよ 悠司や梓も見ただろ?」
二人して首を横に振る。
  「裕也 俺たちはあの時お前以外誰一人見てないぞ?」
 「・・・え?」
  「お前の後ろの人なんかいなかったし、あの後お前一人で歩いて帰ってったじゃねーか なぁ?」
  「ああ、大体連れがいたなら飲みになんかさそわねーよ」
  「そうよ 裕也くん一人だったから声掛けたんだよ?」
雅も悠司も梓がそろって口を開く。
 「そ・・・んな馬鹿・・・な・・・」
でも、そういえば確か・・・


―――

     「お、裕也じゃん 『お前』やっぱり花火見に行ってたな?」
    「ん?ああ、まぁちょっと色々あってね」
     「色々ってなんだよーせっかく誘ったのに来ないんだもんなー
     ま、いいや 俺らこの後飲みに行くんだけどさ 『お前』も来る?」
    「いや、遠慮しとくよ また今度な」
     「お、こいつから今度は行く的な返答を貰えるとは わーった 今度は絶対だからな」
    「覚えとくよ んじゃな」
     「ああ、またな」   

―――


 「あの時、お前ら じゃなくて お前 って・・・」
  「そりゃそーだろ?お前しかいなかったんだから」
(そうだ あいつらは俺だけを相手にしていた 大体女の子と一緒だったらもっと絡んでくるはずだ)
 「お前らには見えてなかったとでも言うのか・・・?」
  「だからいなかったんだって 大丈夫かよ お前なんか変だぜ? 顔色も悪いしよ」
 「・・・悪い また今度な 急用が出来た」
俺は急いで走り去る。
  「あ、ああ。何かよく分からんが頑張れよー」
向かう先は・・・とりあえずあの十字路の奥に行ってみるしかない。俺にしか彼女が見えないというのなら尚更だ。




全力で走り続けて、ようやくあの時の十字・・・路・・・に・・・?
 「T字路!?馬鹿な!確かにあの時夏樹さんは向こうに・・・もしかしてここじゃないのか・・・?」
彼女が歩いていったはずの方角には、竹やぶがあるだけで道なんてなかった。
周りの道を調べてみるがやはりあそこしかない。
 「やっぱりここだ・・・道がないなんて・・・ありえないだろ・・・何がどうなってんだ・・・?」
俺は途方に暮れながら、とにかくあの時の道をもう一度歩いてみようと、丘の上を目指して歩き出した。


丘の上。姉さんの墓のあるところ。海が一望に出来るところ。
二人で並んで花火を眺めた場所に来た。
ずっと気を張ってたからか、のどが渇いたので自販機でお茶を買って、煙草に火をつけてもう一度思考を開始する。


今でも明確に思い出すことができる。
あの暑い夜の初めての出会い、いきなりの訪問、姉さんの遺言に浴衣姿と花火大会。
だが、雅たちは会ってないという。あの時確かに俺は夏樹さんと一緒にいたのに、彼らにはまるで見えてないかのように・・・

今考えるとおかしな点はいくつかある。
彼女はどう見ても俺より年下だ。なのに、俺が小学校6年生の時に亡くなった姉の知り合いだと言う。
それに、そんな頃の遺言なんて覚えていられるか?何年間も。
さらに、俺の家の場所。あの事故の時住んでた家じゃない。今は一人暮らしだと言うのに・・・なぜ俺の家の場所が分かったんだ?
尾行されたなら話は分かるが・・・。
謎はたくさんあるが、なぜか彼女が悪い人間だとは思えない。
それに・・・ここまで必死になってやっと気がついた。







 「俺は・・・夏樹さんが好きなんだな・・・」

自覚した瞬間一気に楽になった。ああ、俺は夏樹さんが好きだったんだ。おそらく、初めて彼女に会ったあの夜から・・・。




  「裕也さん」



 「え!?」
突然の声に顔をあげると、海に沈もうとしている太陽を背に、彼女はそこに立っていた。




2010.09.17 Fri l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲





   第5話 ~花火~


遠くから花火の音が聞こえるが、結局俺は出かけることなく家の中で過ごしていた。
気が乗らない。こういう時は自宅にいる方がいい。

なのに・・・

 「何でまた飲み物がねーんだよ!俺は作者じゃねーぞ!あいつはいつもいつも飲み物がないってコンビニに行くが
 俺はちゃんと帰宅前に買ってきてる筈なのに・・・作者の陰謀か そうなんだな?」
などと言い訳をしながらコンビニに向かう為に家を出た。

ら、そこに
 「・・・夏樹さん・・・?」
そこには、浴衣姿の夏樹さんが立っていた。
  「! 裕也さん!」
 「そんな所で何してるの?用があるなら呼んでくれればよかったのに」
  「花火を見てみたいなって思ってたんですけど、道が分からなくて・・・それで!ここにいたら裕也さんが出てきてくれそうな
  気がして・・・」
 「・・・そっか(もしかして、待っていてくれたのかな・・・?)」
 「よし!じゃぁ案内してあげるよ それで、一緒に花火見ようか」
この時の俺は、多分笑顔だったと思う。なぜか、彼女はここで俺をずっと待っていてくれたって確信があったからだ。
  「いい・・・んですか?」
 「うん。行こう」
俺たちは花火がよく見える場所に移動しようと、歩き出した。


海を見渡せる小高い丘の上。姉さんのお墓のある場所。実はここは誰も知らない花火大会のベストスポットなのである。
そこに二人して座って、さっき夜店で買ったラムネを飲みながら花火を眺める。

 「そういえば、さっき花火を『見てみたい』って言ってたけど、見たこと無かったの?」
俺はさっき気になったことを聞いてみた。
  「はい・・・ちゃんと見たことって一度も無くて だから今日裕也さんと見れるのがとても嬉しくて」
 「そっか・・・なら、目に焼き付けておかないとね!」
  「はい!」
この時の彼女の笑顔は、とてもとても可愛かった。




やがて花火も終わり、二人して帰り道を歩いていると
  「お、裕也じゃん お前やっぱり見に行ってたな?」
 「ん?ああ、まぁちょっと色々あってね」
人見知りなのか夏樹さんは俺の後ろに半ば隠れるように移動した。
  「色々ってなんだよ?せっかく誘ったのに来ないんだもんなー
  ま、いいや 俺らこの後飲みに行くんだけどさ お前も来る?」
 「いや、遠慮しとくよ また今度な」
  「お、こいつから今度は行く的な返答を貰えるとは わーった 今度は絶対だからな」
 「覚えとくよ んじゃな」
  「ああ、またな」
雅たちと別れ、歩き出した
 「夏樹さんって人見知りするの?」
  「え?」
 「さっき雅達が来たときに隠れるみたいに後ろに移動したからさ」
  「・・・はい」
 「そっかー ま、そのうち慣れるよ 人付き合いなんてさ」
  「・・・。」



  「あの、じゃぁ私こっちなので。今日はありがとうございました」
 「送っていくよ」
  「いえそんな、悪いんで・・・ここで・・・」
 「そう・・・?分かった じゃあまたね・・・あ、そうだ また時間作れるかな?今度はもうちょっと遠くまで遊びに行こうよ
 もちろん、夏樹さんがよければ、だけど・・・」
  「・・・。」
 「夏樹さん?」
  「あ、はい!・・・じゃあ大丈夫そうならまた伺いますね・・・」
 「ん、分かった 待ってるね それじゃ」
  「また・・・」

そうして、お互いの家に向かって歩いていった。






2010.09.16 Thu l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲





   第3話 ~潮風~


  「裕也さんのお姉さんの、夕海さんです!!」


 「・・・何を言い出すかと思ったら・・・俺の姉は昔海で死ん・・・え?夏樹さん、俺とは会ったこと無いんだよね?」
  「ありません・・・」
 「じゃぁ姉さんとは?」
  「・・・あります」
 「なんだ、姉さんの知り合いの人だったのかー・・・」
見た感じ俺より年下だけどけどなぁ・・・まぁ姉さんの知り合いじゃ俺の名前を知ってても不思議じゃないか。
 「じゃぁその伝言は・・・遺言か何かかい?」
  「遺言と言えばそうなのかも知れませんが・・・」
 「そっか。それをわざわざ伝えに来てくれたんだね・・・ありがとう」
  「いえ、そんな・・・はい」
 「姉さんが・・・そっか・・・よし!」
  「どうかしましたか?」
 「姉さんのお墓に行こうと思うんだ 悪いんだけど今日はこれで・・・」
  「・・・分かりました・・・」
 「うん、じゃぁね また」



姉さんのお墓は海が見渡せる小高い丘の上にある。名前にも『海』の文字が使われている。その影響ではないと思うが
姉さんは海が大好きだった。だから、父さんや母さんはここにお墓と作ったと言っていた。


 「やぁ、姉さん・・・久しぶり・・・」
お墓の周辺を掃除して線香を・・・
 「何ヶ月ぶりかな?しばらく来れなくてごめんね 色々忙しくてさ・・・」
俺は煙草に火をつけ姉さんの墓と並んで海を眺める。いつもここに来たときの、まぁ決まりみたいなもんだ。
 「今日姉さんの知り合いだっていう人が訪ねてきたよ まぁ初めてあったのは先週なんだけどさ 夏樹さんって言って・・・
 って、姉さんの知り合いなら名前だけで分かるか」
しばらくの沈黙。火が消えかけた煙草をもみ消しながら
 「姉さんの遺言を伝える為にわざわざ来てくれたらしいんだ・・・前を向いて歩いていくよ」

           ――裕也は、まだ分かってない―――


 「え?」
ふと、姉さんの声が聞こえた気がした。
 「・・・気のせいだよな・・・」

そして、俺は夕焼けの美しい海からの潮風を体中に受けながら、丘を降りる為に歩き出した。







   第4話 ~細波~


電車で数駅離れたバイト先からの帰り

  「裕也ー!」
ふと、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえた。
 「なんだ雅か」
  「裕也!今日花火大会があるだろ 一緒に行かないか?悠司や梓も来るってよ」
 「花火大会か・・・いや、俺はやめとくよ そんな気分じゃないんだ」
  「まぁそういうなよ。お前と一緒に花火みたいって女の子がいるんだよ!ほら、梓と同じ高校の・・・」
 「そういう気分じゃないって言ってるだろ?それに、今は彼女とかそういうのはいいんだ じゃぁな」
  「女っ気がない大学生活なんてつまんねーだろー?20時に春日神社集合って事になってるから、気が向いたらこいよー!」
俺は軽く手を上げて帰路につく。
 (そんな気分じゃねぇって言ってるのに・・・あいつなりに気を使ってくれたのかな・・・?)
そう思うとなんだか悪い気がしてきて、足早に家に向かって歩いていった。



家の前に来たとき、最近見知った人が佇んでいるのが目に入った。
 「あれ、夏樹さん 何か用事?」
  「はい。あの・・・」
 「?」
  「・・・。」
俯き加減で言いよどんでいる夏樹さんだったが、その後意を決したように顔をあげた。
  「一緒に花火、見に行きませんか!?」
頬を赤く染めて、見上げるように上目遣いで。
俺はさっきの雅との話しを思い出したが、でもやはり今はそんな気分じゃなかった。
 「ごめん。さっき大学の友達にも誘われたんだけどさ、今はそんな気分じゃないんだ・・・せっかくだけど・・・」
  「そ・・・うですか・・・すいません、いきなりこんなお願いしちゃって・・・」
 「いや、こちらこそごめん せっかくのお誘いなのに」
  「いえ・・・」
気まずい沈黙が流れた後、ふと
  「やっぱり、まだ許せませんか・・・?」
 「え?」
いまいちよく聞き取れなかったが・・・許せない?
  「何でもないです・・・気が変わったら、その時はお願いしますね・・・」
そう言って彼女は歩き去っていった。






2010.09.16 Thu l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲







   第2話 ~潮騒~


(「やっぱり!私はあなたを探していたんです!裕也さん!」)
会ったこともないのに俺を探してたってどういう事だ?一体どこから来た子なんだ・・・この辺りじゃ見かけないし・・・
ってかあんな子が近所にいたなら話題になってないはずがない!可愛かったし。

  あ、可愛い子には目がない変態だ。とか思っただろ?作者があんなだからその辺は許してくれ。俺じゃ対処不可能。

 「考えても仕方ないな。分からんもんは分からん いずれまた会うでしょう とか言ってたし、縁があればまた会えるだろ
 分からないことはその時に聞けばいいさ」


ピンポーン

 「って言ってるそばから来たんじゃないだろうな・・・」
  「こんにちはー 宅配便ですー」 デスヨネーそう思ったとおりに行かないのが人生ってもんだ うん。
 「はいはいちょいまって っと はい」
  「こんにちは お届けものです ここにサインお願いします」
 「(湊裕也 っと)はい ありがとうございます」
  「ありがとうございましたー」





 「誰からだ・・・ろ? って時任さん!?」
  「こ、こんにちは・・・」
 「なんで俺の家が・・・じゃない、そんな所で何してるの?でもなくて・・・ちょうど聞きたい事があったんだ いいかな?」
  「はい、あの・・・私もお伝えしないとダメな事があって・・・」
 「そっか。とりあえずどうぞ」
  「えと・・・お邪魔します・・・」

麦茶で良いかな?良いよな ってかそれしか無い。

 「暑かったでしょ 今は凪だからさ、風もないし 麦茶しかないけど」
  「ありがとうございます」
 「でさ、聞きたいことが・・・ってそっちが先か 俺に伝えることって?」
  「・・・ある人からの伝言で・・・もう許してあげてもいいんじゃない?前を向いて歩いていって と・・・」
 「・・・? 許す?」
  「はい・・・」
許すって何をだろう?と考えていると
  「あ、あの!私に聞きたいことって何ですか!?」
 「そうだった。時任さんは俺の名前知ってたみたいだけど、どこかで会ったことある?悪いんだけど記憶に無くってさ」
  「・・・。」
 「時任さん?」
  「え、あの・・・会ったことは・・・ないです・・・」
 「(なのに俺の名前を・・・?) ・・・時任さんはさ」
  「あの!」
 「な、何・・・?」
  「なまえで・・・なまえで呼んでください!・・・名字、好きじゃなくて・・・」
 「でも・・・分かった で、夏樹さん。」
  「はい なんですか?」
 「誰からの伝言なのかな?って」
  「・・・。」
無言になる夏樹さんに俺は再度問い直した。
 「夏樹さん・・・?」
  「・・・夕海さん・・・」
 「ゆみ?って・・・」
  「裕也さんのお姉さんの、夕海さんです!!」
2010.09.15 Wed l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲
お久しぶりの人はお久しぶり
そうでない人もお久しぶり

お久しぶりの更新です

色々書くのめんどくさいので状況から何してんのか察してくださいよっと ほい











   ~prologue~


―  バシャン!


そんな音を聞いた気がした。

   その時もう少しその音のことを気にかけていたら、こんな事にはならなかったのかも知れない・・・
   だけどその時の僕は、彼女は自分の後ろを着いてきてくれているものだと思い込んでいたんだ・・・

それからたった数十秒だったと思う。そこにいた人がいなくなっていると気が付くまでに。





姉の死を両親から聞かされたのは、それからしばらくしてからだ。
あれは・・・セミの鳴き声の消えかけた、まだ暑さが残る小学校最後の過ぎ行く夏の日だった・・・  ―














   第一話 ~波~


「もう夜だっつーのに、あっついよなぁ・・・夏なんて早く終わっちまえばいいのに」
ひとりごちながら夜の住宅街を歩く。

  何故暑い夏の夜に出歩いてるかって?飲み物がなくなったんだよ畜生!こんなことならバイト帰りに買っておくんだった・・・
  後悔の原因思い出させるんじゃねぇ。黙って読・・・ん?

コンビニで買ったジュースを片手に歩いている時、俺はその子を見つけた。
周りをキョロキョロ見回して、明らかに不審な動きだ。本来なら我関せずで通り過ぎるところなんだが・・・何故だろうか
無意識のうちに声を掛けていたんだ。

「どうかしましたか?」
 「えっ!?・・・あ、あの・・・ごめんなさい。人を探していて・・・??」
「人探し・・・?」
 「はい、でも見つかったかもしれません。あなたが・・・」
「え?」
 「あなたが湊裕也さん・・・ですよね?」

これが俺と夏樹の出会いだった
そして今思えばこの時俺はすでに、この子に惹かれはじめていたのかもしれない
この、黒髪の少女

時任夏樹に。
2010.09.15 Wed l 過ぎ行く夏と・・・ l COM(0) TB(0) l top ▲
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。